今朝の体調、少し思ったこと

性別迷子(MtX)でパニック障害持ちの図書館職員。逃げ出したカウンセリングを今年中に再開したいです。早く男から離れたーい!

本を読むホームレス

「すごく服装の汚らしい人が、書架を歩いている」

防犯カメラのモニターに映ったその人の姿を見て、ホームレスの人だと直感。

「他の人に、なにか変な事しなければいいけれど…」

 

書店はお金が無くても入ることができて、なおかつ時間も潰せます。

暑ければ涼を、寒ければ暖が取れる、稀有な場所。

前に勤めていた書店は朝早くから夜の9時まで、年中無休でした。

そのため幅広く人が来店し、ホームレスの人もまた普通に立ち読みをしていたのです。

彼らの服装は様々。

冬なのにサンダルを履き、ボサボサの髪を掻いている人もいれば、

スーツ、けれどシャツは変色して、スーツケースを引きずる人もいました。

大抵そういう人たちは、本格的な冬が来る前に暖かい方面へと行く、と聞きます。

 

けれど冬を越せなかった人たち、「ああ、その人なら死んだよ」と

巡回している警備の人や警察官から何度か聞かされたものです。

 

今日のホームレスの人は、ろうあ者のようで、手振りで紙とペンを求めました。

(そういえば、ジッと私を見て、それから迷ったように寄ってきました)

筆談、たどたどしい文字。

けれど内容は「ここの図書館の案内が欲しい」

拍子抜けと同時に、前述の誰かの言葉が、恥ずかしくなってしまいました。

 

後から聞いたのですが、何かおかしなことをしていたわけではなく、

ボーっと本棚を眺め、それから学術的な書籍を読んでいたみたいです。

もしかしたら、障害や何らかの理由で零れ落ち、流れ、

たまたま通った図書館が目に入った、そんなところでしょうか?

今のところ涼しいとはいえ、公園などで水を汲むための大きなペットボトル、

雨をしのぐのには貧弱なジャンパー、破れかかったズボン、

それでは生活は過酷だと思います。

 

もちろん館内の環境が悪くなる、という声があるのは分かりますし、

生半可な優しさで彼らを見ることは、お互い気持ちのいいものではないでしょう。

私たちが上から目線で応対するのもいかがなものでしょうか。

けれども、純粋に本を読みに来たんだ、そういうのを奪い去ろうとするのは、

何かが違う、そういう気がしました。

 

今日のホームレスは最後、何度も何度も頭を下げていました。

また何処かで、本を読める環境にたどり着いて欲しいと思いました。