そういう風に見える
どうにもこうにも手が、それも右手だけが震えてしまいます。
「それって腱鞘炎ですかぁ?」
一つ下の同僚Sさん(ショートで長身の美人さん)が聞いてきました。
「私がスポーツでもしそうに見えます?」
「うーん見えませんねぇ」
「あれです、書痙みたいなのです。私、パニック持ちなんで」
少しばかり「パニック持ち」なんていう単語に引け目を持っているけれど、
別に知られたくない、そういうのは持っていないので、
あくまで軽く、さりげなく、伝えるようにしています。
「ええーそうなんですか、じゃあ何か起きたら、蹴りでも入れてあげますか?」
「えっ、怖っ!」
「冗談ですよぉ」
ひょろりとしたSさんが傾き気味にしながら笑うと、
「でも、そういう風に見えてましたからぁ」
と付け加えたので、え?そんな風に見えてるの自分?と気になってしまいました。
笑顔が少ないのかしら、表情が単調なのかもしれないし、
声も時折詰まったり、くぐもったりするから、そんなのひっくるめて、
そういう風に=神経質とか心配症とかの雰囲気をしているのだろうな。
でも簡単には治らない、意識したらしたで、すぐにバランスを悪くしてしまう。
経験がそこそこあるにも関わらず、接客業が未だに分からなくなってしまうのです。
それでも、バーコードスキャナを持ち、手を震わせてなんとかやっております。
自分自身に毎回、幻滅しながら。